“かくれ糖尿病”とは、糖尿病でありながら健康診断などでみつけられない糖尿病のことです。
健康診断では食前の空腹時血糖値が測定されますが、予備軍の段階で発見するには食後の血糖
値を見る必要があります。
一番下の青い線が正常な人で、食後でも血糖値が140 mg/dlを越えることはありません。赤の
線の人でも、全体は高くなりますが、やはり空腹時血糖はあまり上昇せず、食後に高血糖をき
たしています。平均すると、食前は126 mg/dl未満では糖尿病の診断はつきません。緑の線で
は、食後血糖は200mg/dlぐらいまで上がっていますが、空腹時血糖は大して上昇しません。
この結果、空腹時血糖の検診では見逃してしまう可能性が高いのです。食前で血糖が上がって
くるのは重症な人に限られます。食後高血糖の予備軍は、実はもう糖尿病の範囲に入っている
にも関わらず、食前血糖値の健診ではほとんど分からないというショッキングな結果です
ではどうすれば発見できるのか?食後の血糖を測るには「血糖測定器」というものがあります。
これは指先に針を刺し血液を測定するもので、健康かもしれない人が購入するには高価で、継続
的に測定する必要のない人には手が出ません。そこで安価な測定法として尿糖試験紙で簡易的に
測定する方法があります。
コップにためた尿に浸すと色が変わって尿中の糖を調べることのできるテルモ社の尿糖試験紙
「新ウリエースGa」は薬局で1000円程度で入手できるため一般の方の自己測定に向いています。
尿糖が陽性かどうかを食後に自宅で測定し、結果が陽性と出た場合は医師に相談して実際に糖尿
病かどうかを測定するためのブドウ糖負荷試験などを受けてうけてください。
もし予備軍だと分かったら、できるだけ早い時期から血糖コントロールを行うことが大切です。
早期に始めた治療の効果は30年後まで合併症を予防していることが分かっているからです。
その予防として注目されているのが糖質の摂取量をコントロールして、食後の血糖値の急激な上昇を
防ぐことです。食物繊維の多い食事も心がけてくださいね。